授業力アップ 学級経営の話

現職の小学校教員30年の経験から学んできたことを紹介します。
授業力や学級経営について参考になれば幸いです。

間違いを予測すること

算数 小数のたし算・ひき算 筆算

🔴間違いを予測すること



子どもが間違いやすい所を予測する力が教師には必要です。


ミスを予測する事が出来れば、あらかじめ、ミスを防ぐ事が可能になります。


どんな授業であっても、予測しておく事で対応がしやすくなります。


特に算数の指導では、どの単元でも予測しておく事です。


指導する際に、強調する事でミスを減らす事が出来ます。


小数のたし算・ひき算の筆算でつまずきやすい所は?


①3.5+4


②2+6.7


③5-2.6


④8.5-3


なぜこの4つのような計算が間違えてしまうかというと?



🔴「位をそろえる」という原則があるのに、桁が違うために戸惑うからです。



3.5+2.4のような計算とは違い、2+6.7のような計算は、位をそろえられずに、つい6.9としてしまうのです。


どこが間違っているのかを考えさせることが大切です。


正解だけを求めるのではなく、間違いの中にこそ、本質が隠されています。


だから、誤答を大事にするのです。

星の学習

🔴星の学習

⭐️私は星空を見るのが大好きです。


子どもが小さかった頃は、よく星を見に山奥までドライブに連れて行きました。


天体望遠鏡で土星の環や月のクレーターを見せると大喜びしていました。


懐かしい記憶です。

私が中学一年生の時に買ってもらった天体望遠鏡です。当時の大阪は、工場からの光化学スモッグで星はあまり見えませんでした。



🔴小学校では、天体の学習を4年生と6年生でします。


月と星の動きについて学習をします。


🔶 星については、「夏の大三角」や「冬の大三角」を通して学んでいきます。


星座盤を使うのは、難しくても子どもは好きです。


🔶冬は特に空が澄んでいるので、よく見えます。


「冬の大三角」


・オリオン座のベテルギウス


・おおいぬ座のシリウス


・こいぬ座のプロキオン


一際、夜空に輝くこれらの3つの星を結ぶと正三角形にもなります。



🔶昔、夜に学校に集まって天体観察会をした事もあります。


地域の天文愛好家の方をゲストティーチャーにお招きして、子どもたちに説明してもらったり、たくさんの天体望遠鏡を借りてきて観測したりしました。


🔶今はソフトを使って、星の動きの動画を見せて、授業をする事も出来ますね。


🔴星の大きさを授業でするのも、面白いですよ。


地球の大きさを一円玉とします。1cm


太陽は地球の109倍なので約1mの円


月は約3mm


🔶黒板に書いて、比較するとその大きさの違いが実感できます。


🔶地球と月の距離は、約38.5万kmなので、約30cm離れた所にある事になります。


🔶太陽と地球の距離は1億4960万kmあるので、約120m離れた所にある事になります。


🔴こんなふうに例えると、子どもたちは、


「うひゃー!」


「すげ〜!」


となります。



さらにオリオン座のベテルギウスの大きさはどれくらいだと思いますか?


🔶ベテルギウスは膨張を続けているので大きさは図鑑によって表記が違いますが、太陽の約1000倍です。


つまり、この例えだと大きさは約1kmになるわけです。


小さく見える星がそんなに巨大なものだと知ると、子どもたちは驚きます。


⭐️私たちの住んでいるこの地球でさえ、宇宙の中では、ちっぽけな星である事に気づきます。


この授業をした時にある子が、



🔴「先生、宇宙のこと考えたら、自分の悩みなんか、めっちゃ小さい事やなぁって思うわぁー」


と言った事がありました。


星を見ているといろんなことを考えられますね。



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命の授業4 私のたからもの

🔴命の授業4 私のたからもの


⭐️どの学年の担任になってもする私の「命の授業」です。


⭐︎私自身の経験を子どもたちに伝えます。


「先生の宝物は、二人の子どもです。お姉ちゃんと弟がいます」


と話を始めます。

⭐︎娘が生まれた時の話、毎日絵本を読んだり、おうまさんごっこをしたりした事を話します。

子どもたちはニコニコしながら聴いてくれます。


⭐️娘が2歳の時、妻のおなかに新しい命を授かりました。


「もうすぐお姉ちゃんになるからね」

⭐︎幼いなりに娘も喜んでいました。産婦人科の検診には、おなかの大きい妻と娘を私が車で連れて行っていました。


⭐︎出産予定日まであと2ヶ月、いつものように病院に行きました。寒い寒い2月の夜です。


⭐︎妻はお腹が張っている状態が続いていましたが、娘が安産だった事もあり、大丈夫だと思い、いつものように娘を抱っこして、診察室に入りました。


⭐︎「赤ちゃん大きくなったかなぁ」と言いながら、超音波画像をのぞきこみました。



🔷その時、院長先生がため息をつきながら


「おなかの赤ちゃんは、亡くなっていますね。これが心臓ですが、動いてないの分かりますか?」


と言いました。


🔷その瞬間、体が凍りつきました。妻は顔を覆って泣き崩れました。


「原因はまだ分かりません。亡くなってからおそらく一週間、とにかく早く出してあげないと奥さんの体が危なくなります」


という先生の言葉が虚ろに聞こえていました。すぐに入院する事になりました。


🔷ぐずり出した娘を抱いて外に出ると、真冬の空は星がいっぱい出ています。


🔷まだ何も分からない娘が、

「赤ちゃんどこ行ったの?」

と聞いてきます。


🔷それまで我慢していたものがとめどなく溢れてきました。


🔷「赤ちゃんは、死んじゃったんだよ。遠い遠い所に行っちゃったんだ。空に行って星になったんやで」


としか言えませんでした。


🔷娘は星空を見上げて、


「どこ?どこにもいないよ」


と言います。小さな娘をぎゅっと抱きしめていました。



🔶その日は、病室がいっぱいで分娩室の片隅のカーテンで仕切られた場所で夜を過ごしました。


🔶分娩室では何度もお産があり、元気な産声が聞こえてきました。


🔶簡易ベッドでずっと泣いている妻の背中をさすりながら、


(何でもっと早く病院に連れて行ってあげなかったんだろう)


と自分を責め、悔やみきれない気持ちで一晩を過ごしました。

🔶拳から血が出るぐらい壁を殴りました。

一晩で、おそらく一生分の涙を流したと思います。


🔶翌朝、陣痛促進剤を何度も使いました。もう大きくなっているので、お産をして出さなければなりませんでした。


🔶すでに赤ちゃんは亡くなっているのに、妻は、陣痛の苦しみと分娩の痛みも乗り越えなければならないというのは、あまりにもつらいものでした。



🔶生まれてくる事が出来なかった我が子の為にせめて、最期までついていてやりたいと思いました。


🔶強くなってくる陣痛に耐えている妻の背中を何時間もさすり続けました。


🔶そして、その夜になって、やっと分娩が終わりました。


🔶分娩室に呼ばれて、我が子に対面しました。

男の子でした。

小さな小さな手をしていました。



🔶亡くなってから一週間たっていましたが、抱き上げたら産声を上げてもいいぐらい、他の新生児と何一つ変わらぬ姿でした。


🔶先生から説明を受けました。


「へその緒の付け根が爪楊枝ぐらい細かったんです。こんなに細いと、本当なら5ヶ月ぐらいしか生きる事が出来ないのに、この子はこれまで頑張って生きたんですよ」



🔶どんなに身体が弱くてもどんな障害があっても、生きて産まれてきてほしかった。



🔶看護師さんから言われた小さな柩を用意しました。



🔶おもちゃを入れてあげてくださいと言われたので、買いにも行きました。

🔶宇宙ロケットとウルトラマンゾフィの人形を入れました。

この子には「一星(いっせい)」と名前をつけました。



🔶入院している妻を残し、斎場で別れを告げました。


役場にも手続きに行かねばなりませんでした。


🔶この子の分まで生きていこうと妻と話をしました。



🔴当時、1年生の担任でした。



🔶学校に出勤してから子どもたちにその話をしました。


🔶話をしている間、いくら我慢しても涙はとまりませんでした。



🔶でも、1年生の子どもたちでも命の大切さを分かってくれました。


🔶私といっしょに泣いてくれていました。


🔴学級通信にも、この事を書き上げて伝えました。



🔶この子が存在した証を残したいと思ったのかもしれません。



🔶しばらくは、救急車のサイレンの音を聞くだけで心拍数が上がり、その時のことを思い、つらい日が続きました。



🔶2年後、神様がもう一度子どもを授けてくれました。



🔶元気な息子が産まれました。



「お前は、お兄ちゃんの分まで生きてくれ、2倍の命なんだから」


「帰ってきたウルトラマンやなぁ」

と抱き上げて心の中で語りかけていました。




🔶21年が経ち、娘も息子ももう大きくなり、一人暮らしをしています。



🔶 離れて暮らしている分、いつも気になり、心配ばかりしています。





⭐️こんな話をクラスの子どもたちに伝えています。



⭐︎どんな学年でも私の心からの話を受けとめて聴いてくれています。


⭐︎子どもたちに命の尊さを伝えていくことが、私の仕事の中で一番大切にしている事です。


🔴これが私の「命の授業」です。


🔶大切な家族を亡くされ、私よりもっとつらい思いをされている方もたくさんおられると思います。



🔶どうかその亡くなった方の分まで生きてください。


心からそう願います。



⭐️私は時折、星空を見上げて問いかけています。



「父さんはお前の分まで生きているか?見ててくれよ」と



🔴子どもたちにとって、どんな読み物教材より、先生自身の命に関わる話を伝えてあげる事の方が大切ではないかと私は思います。







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命の授業3 命の線

命の授業3 命の線


🔴命について考える時、誕生日のことから始めます。


私は、誕生日は「おめでとう」と言ってもらう日でもあるけれど、「ありがとう」を伝える日なんだと話をしています。


自分を産んでもらった日なんだと。


それを忘れてはいけないと。


🔴命について考えさせる時、私は、黒板に一本の線を引きます。


0歳の誕生日からスタートするその線を学年の年齢まで伸ばしていきます。


これは「命の線」ですと。


そして、本当は命のスタートは誕生日ではない事を考えてもらいます。


オギャーと産まれてくる前、お母さんのおなかの中で守られて大きくなった事を子どもたちは気づきます。


🔸2年生の生活科では、自分が産まれた時の事や小さかった時の事を家族に聞き、これまでの成長をまとめていく単元があります。


名前の由来や、赤ちゃんの時に病気をして家族が心配した事などを聞き取ってきます。



写真を貼ったり、絵に描いたりして、自分の成長をまとめていくのです。


冬休みの宿題として、聴いてくるようにしています。


子どもたちは、自分がどんな思いで育ててもらってきたのか、家族の願いや様々な出来事を聴く中で、一人で大きくなったのではない事に気づきます。

🔸助産師さんにゲストティーチャーとして来てもらった事もあります。



お母さんのおなかの中で、どんなふうに大きくなっていくのか、いろんな月齢の胎児の人形を見せながら話をしてくださいました。


お母さんとへその緒でつながっている事、栄養や酸素をもらっている事などを分かりやすく教えてくださいました。



お産の様子も、様々な例を挙げて説明していただき、子どもたちからは、

「わたしもそうだった!」

「ぼくもお母さんから聴いた!」

などの声があがっていました。


そんな形で「命の線」の0歳の誕生日までの事、赤ちゃんの時の事、保育園や幼稚園の頃の事を考えていきます。


そして、「命の線」の先を考えていきます。


どんな人の「命の線」にも、必ず終わりがある事を伝えます。


長生きする人もいれば、病気や事故で短い線になる人もいる事を。


明日、交通事故でこの線が突然終わるかもしれない事を。


「死」を考える事が、「生」を考える事になります。


だからこそ、今を大切にして一生懸命に生きなければならない事を考えてもらうのです。


そして、どんなつらい事があっても、自分でこの「命の線」を終わらせてはいけないという事を伝えるのです。


つづく






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命の授業2命のバトン

命の授業2 命のバトン




🔴命の学びをする時にとても素敵な絵本があります。


『いのちのまつり』という絵本です。



自分の命は、誰からバトンをもらったのか?を考えるのにとてもいい教材になります。


○父と母の2人

○祖父と祖母の4人

○曽祖父と曽祖母の8人


こうしてご先祖様をさかのぼっていくと、2乗していく数になります。


10代遡った数は?


2の10乗で、1024人です。


20代遡った数は?


1048576人になります。


その中のたった1人でもいなければ、自分の命は今、ここにはない事に気づかせるのです。


(*父や母がいない子どももいるので、配慮は必要ですが、子どもたちには父や母の命を受け継ぎ今ここにいるのだという事は分かってほしいのです)


この絵本が出版されるまでは、黒板に図を描いていました。


奈良県教育委員会が編集している『なかまとともに』にも一部掲載されています。



また、高学年では、ご先祖さまの数を計算してもらっています。


「これだけの人の命をあなたたちは貰い、受け取って今を生きているんだ」


ということを考えてもらいます。


そして、未来の話です。


「将来、あなたたちは、結婚しない道も結婚する道もあります。子どもは出来るかもしれないし、出来ないかもしれない。命は神様の授かりものだからです」

「でも、もし、子どもが出来た時、あなたの命は未来へとバトンが受けつがれていくのです」

「子どもが生まれなくても、これからの人生でたくさんの人と出会います。 あなたと出会う事で、誰かに何かが伝わります。それもバトンなのです」


「だから、もしもあなたたちが、事故や病気で死んでしまったら、そのバトンが渡せなくなってしまうのです」

「そんな大切な命だからこそ、人の命も自分の命も大切にしないといけないんだよ。」


と語りかけています。

命はたった一つの宝物です。

🔵「命は大切だ。命を大切に。そんなこと、何千、何万回言われるより『あなたが大切だ』誰かがそう言ってくれたら、それだけで生きていける。」

公共広告機構のCMで以前使われていたものです。

授業でこの言葉の中身を考えます。

「誰かがって誰なんだろう?」

「家族?」

「友達?」

「先生?」


「この人はどんな事で悩んでいるのだろう?」




小学生でも、深い内容について考える事が出来ます。




私はこの言葉もいいと思いますが、子どもたちにとっては、もう一つ次の言葉があるのではと思っています。



🔴「あなたが大切だ。そんなこと、何千、何万回言われるより『いっしょにやろう』と誰かがそう言ってくれたら、それだけで、生きていける。」





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