道徳の教科化②人権教育
🔴道徳の教科化②人権教育
◯前回は道徳についての私見を述べました。道徳は教科書だけで進めないことが必要だという内容です。
◯今回はもう少し「道徳」について突っ込んで述べたいと思います。教科書にあるような内容ではなく、事実に基づく学びが大切だと私は思います。
◯自分たちのくらしの中にある不合理なことやおかしな事を考え合うこと、世の中にある問題や社会の中にある矛盾や理不尽なことを考えることで、どう生きるべきかを問うことが大切だと思います。
◯「道徳」に挙げられている「価値項目」の内容は、子どもでも善し悪しは分かっています。
◯しかし、人間は、子どもであれ、おとなであれ、誰しもが弱い心を持っています。
◯つい腹を立て悪口を言ったり、偏見で他人を決めつけたり、他者と比較して優越感に浸ったりもします。
◯皆、揺れ動きながら矛盾や葛藤を抱えて生きています。
◯「道徳」の教科書のように「こんなふうにより良く生きましょう」というような授業では心には響かないのです。
◯それよりも子どもたちのくらしの現実から深く学ぶことが大切です。
◯顔つき、身体つきや名前で嫌なアダ名をつけられて、いやな思いをしている子はいないでしょうか
◯親の仕事や収入で他の子を見下す子はいないでしょうか。
◯周りから疎外されたり、いじわるされたりしている子はいないでしょうか。
◯自分の事を嫌いになり、自信をなくしてしまっている子はいないでしょうか。
◯誰もが安心して、持ち味を出せる学級になっているでしょうか。
◯学級の中にある問題やくらしの中にある問題を抱えたまま、「道徳」の授業でいくらいい発言をしていても何の意味もありません。
◯どの子にも学校生活を楽しく学ぶ権利は等しく持っています。
◯「道徳」でこそ、くらしの中にある問題を考えさせるべきだと思います。
◯また、社会の中には、差別や偏見、様々な人権課題があります。
◯人権がないがしろにされていることが残念ながら、私たちの社会の中にたくさんあります。
◯高齢者の人権課題、女性の人権課題、子どもの人権課題、働く人たちの人権課題があります。
◯また、部落差別をはじめ、人種差別、在日外国人への差別、障害者に対する差別、性的マイノリティへの差別などの個別の人権課題もあります。
◯これらの実際にある人権課題を抜きにして、「道徳」という教科で心の内面に迫ろうとしても、抽象的で表面的な学習にならないかと危惧しています。
◯これまで人権教育が創り上げてきた実践の中には、心に響く教材や取組がたくさんあります。
◯大阪府人権教育研究協議会が作成した「にんげん」や奈良県人権教育研究会の「なかま」には、子どもたちに考えさせたい教材がたくさんあります。
◯学年の発達段階に応じて、「道徳」の授業でぜひ活用してほしいと思います。