授業力アップ 学級経営の話

現職の小学校教員30年の経験から学んできたことを紹介します。
授業力や学級経営について参考になれば幸いです。

総合学習3 環境について

🔴総合学習3 環境について


4年生の実践です。


🔴環境について川をテーマとして一年間取り組みました。


🔶4年生の社会科では、水道や下水道、ゴミについて学習します。


🔶総合学習では、それらの問題を関連させて、川を切り口にして発展した学びを行いました。



🔶学校の近くに大和川がありました。大和川の水質は全国ワースト1の時がありました。


🔶初めに大和川まで歩いて川の様子を見て調べたい事や考えたい事を出し合います。


🔶子どもたちから出てきた疑問や課題をもとに進めていきます。


🔴名付けて「大和川クリーン大作戦」


4つのコースに分かれて調査を開始しました。


①川にいる生き物


②川のゴミ


③川の水質


④川の上流、中流、下流


4つのコースの中でも、さらにチームに分かれて、興味のある事を調べていきました。

🔶そして、3学期の参観日に、「大和川フェスティバル」をして、調べた事を発表しました。



🔶保護者の方々だけでなく、他の学年の子らにも見てもらいました。


🔶体育館全部を使っての発表です。


🔶真ん中にブルーシートを川のように敷いて、その周りにいろんなコーナーを作って発表です。


✳️①川の生き物コースの子どもたちは、釣りをして魚を取ったり、仕掛けを投入してどんな生き物が川に住んでいるのか?を調べていきました。


🔷汚い川だと思っていたのにたくさんの生き物が生きている事を発見しました。でも、地域のお年寄りから、昔は鮎もいてとてもきれいだった事を知ります。

🔷そして、つかまえた生き物を水槽に入れて展示し、川の生き物クイズを出題したり、調べた事を絵や図に書いて発表しました。



✳️②川のゴミコースの子どもたちは、川に行ってたくさんのゴミを拾い集め、分類をして、重さを量ります。

🔷どんなゴミが多いのか予想を立てて、調査しました。

🔷調査したゴミの事を発表するだけでなく、ゴミで作った2m以上ある怪獣をオブジェにして展示していました。


川が怒っている事を表現したかったそうです。



✳️③川の水質コースでは、水を採取して調査したり、洗剤や食用油を流すとどうなるのか、いろんな実験をした結果をレポートしてくれました。

🔷川の水が汚れている大きな原因は、家庭排水が原因だと実験から突き止め、台所の流し方をアンケートに取って、どうすればいいのかを発表してくれました。




✳️④川の上流・中流・下流コース

私が担当しました。


🔷子どもたちからは、地図を見ながら、川の水はどこから流れてきて、どこへ流れて行くのだろうという疑問がまず出てきました。

🔷子どもたちが調べに行きたいという声が上がりましたが、さすがにそれは難しいので、休みの日に大和川沿いを下流から遡り上流まで写真を撮りに行きました。

🔷そして、上流にある学校と下流にある学校の中から川について取り組んでいる学校を探し、連絡を取る事にしました。

🔷子どもたちが自分たちが調べている事を手紙に書いて、それぞれの学校に送りました。


🔷上流の学校から送られてきた手紙を読んで、岩魚やアマゴなどの魚がたくさんいる事や、すくって飲めるくらい水が綺麗だという事を知り、驚いていました。

🔷下流の学校から送られてきた手紙には、川幅がとても広く、水量もたくさんあり、そんなに水は汚れていない事を知り、なぜなのかを考えることができました。

🔷調べていくと、支流がたくさんあり、 人口も多く、下水道が整備されていない事が原因だと発見した子どもたちでした。



🔷4m四方の川の地図を書いて、ジャンボすごろくゲームを作っていました。マスには「食用油を流したから3マス戻る」などが書かれています。プリント版の小さなすごろくを配ってもいました。


🔷また川の神様が龍となり、水の大切さを伝える話を作って紙芝居にして発表するグループもありました。


🔷上流や下流の様子を川の妖精が空を飛びながら伝えていく話をペープサートにして発表したグループもありました。



子どもたちは、他のコースからもたくさんの学びをすることができました。



🔴最後は「川をきれいにしよう」と思い思いのプラカードを作って、学校から大和川までパレードをしました。


河川敷では、それぞれが考えたメッセージを大きな声で叫びました。


「ぜったいにゴミを川に捨てないぞ!」


「油は台所で流しちゃダメ〜!」



その様子を新聞社の記者が、取材に来てくれて翌日の新聞記事に載せてもらいました。



PVアクセスランキング にほんブログ村

算数 かけ算の筆算3繰り上がり

算数 かけ算の筆算3繰り上がり

二位数×一位数が定着してくると、三位数×一位数の学習をします。


繰り上がりが一度しかない筆算はわりとスムーズにできますが、つまずきやすいのは、繰り上がりが二回ある筆算です。

例えば、987×9です。

①一の位で9×7=63


②6繰り上がり


③十の位で、8×9=72


④7繰り上がり


⑤十の位は2+6で8


⑥百の位で9×9=81


⑦8繰り上がり


⑧百の位は、7+1で8

⑨答えは8883


このアルゴリズム(手順)を理解させ、習熟させなければなりません。


こうして文字に書くとたくさんの過程があることがよく分かります。


慣れるまでは、声に出して、繰り上がりの数も小さく書いて計算をすることです。


3年生の3学期には、3桁×2桁の学習をするので、何度もフィードバックして定着させる必要があります。


きちんと順番に進めていく事の大切さも感じてほしいのです。


社会に出たら、筆算などはほとんどせずに、電卓を使いますよね。


でも、どの仕事でも手順を一つずつふんで進めていく作業はあります。


算数の筆算の学習を通して、学んでほしい事の一つです。


定着してきたら、これまで紹介してきたように数字カードを使って、どれだけ早く答えを並べられるか、トランプのスピードのゲームのようにペアで対決しても面白いです。


また、後で4桁の数字をランダムに選んで、その数に一番近い答えの計算をしていたペアの勝利としておくと、たくさんの筆算を意欲を持ってノートに書くでしょう。

PVアクセスランキング にほんブログ村

命の学習1 動物の命

🔴命の学習1 動物の命


2年生での取組です。


春の遠足では、動物園に行きました。



🔶一番最初に動物たちの慰霊碑に行きました。


🔶飼育中に亡くなった動物、戦争中に処分されてしまった動物たちのことが書いてあり、レリーフとなっています。


そこで動物たちの命のことを話してから、グループごとに見学です。



🔶そして、秋の遠足では県内にあるアニマルパークで牛の乳搾りを体験したり、羊にエサをあげたりしました。


施設には、捨てられた犬や猫の保護所もあり、引き取って育てている人を募集しています。


🔶施設の事業で「命の学習」という出前講座があり、家畜やペット、野生動物の話をしてもらったり、自分の心臓の音を聴いたりして、命について考えました。


🔶また、犬や猫のペットが飼い主の都合で捨てられている事について、考え合いました。


🔶可愛い犬や猫の写真を見せた後、保護施設で哀しそうにしている犬や猫の写真を見せました。



🔶新しい飼い主が見つかって幸せそうに暮らしている写真も見せました。



🔶処分される寸前に引き取られた犬が、救助犬となって人を助けていることも知りました。


🔶そして、ガス室で処分されている事実と、そこで働いている人の気持ちを学んだ子どもたちは、



「飼うのなら、絶対に最後まで飼わないとあかん!!」



「なんでそんな無責任な事するんや」



「動物の命をなんて思ってるんやろ」



「ペットの犬や猫は、オモチャじゃないんや、育てられへんかったら飼う資格はない」



などの考えを出してくれました。


🔶また、私たちがいつも食べている牛や豚、鶏の事も学習します。



🔶おいしいお肉を食べているけど、それは牛の命だという事、命をいただいている事に気づいた子どもたちでした。


🔶私たちの身の回りには、肉だけでなく、牛からもらっていらものがたくさんある事にも目が向きます。



皮はボールやグローブ、ランドセルに。



牛乳は牛の赤ちゃんが飲むはずのものを人間がもらっている事。



🔴子どもたちは、動物の命を通して、大切な事を学んでいきました。




PVアクセスランキング にほんブログ村

総合学習2 国際理解とは?

🔴総合学習2 国際理解とは?




前回の記事では、国際理解の総合学習として、人との出会いを大切にするために4人の外国の方をゲストティーチャーとしてお招きした所まで紹介しました。




当日、グレッグさんに子どもたちが質問をします。内容は事前に分かっているので、何とか通訳して伝えます。




グレッグさんが英語で答えた事を、必死で聴き取り、子どもたちに伝えました。


(尋常ではない量の汗が出ていました。誰も助けてくれないし、子どもたちが目の前にいるので必死に耳を傾けると、不思議なものでだんだん聴き取れるようになっていました)


🔶アメリカの遊びを教えてもらってみんなでした後に、故郷のアメリカの事について、いろんな話をしてもらいました。


アメリカの小学校の話、家族のこと、楽しかった思い出。




🔶その中で子どもたちの心に届いた話があります。



「私には大切な友達がたくさんいます。友達に助けてもらうことがいっぱいあります。グレッグさんの友達の事を教えてください」

と子どもが質問しました。





🔶グレッグさんは大学の卒業アルバムを見せながら、



「僕の大切な友達です」


と言って、肌の色や瞳の色がみんな違う友達のこと、大切な思い出を話してくれました。



🔴そして一番子どもたちに響いた話です。


「僕が今までで一番悲しかった事は、大好きなおじいちゃんが去年亡くなった事だけど、グレッグさんの悲しかった事はどんな事ですか?」



と涙ぐみながら子どもが質問しました。




🔶グレッグさんは、しばらく沈黙してから、こう言いました。




「僕も君と同じだ。10歳のクリスマスの日におじいちゃんが亡くなったんだ。その日の事は今でもよく覚えている。楽しいはずのクリスマスが一番つらい日に変わってしまったから。君もつらかっただろう?」




🔷その話を聴いた時、教室の空気が変わりました。私が通訳する前です。言葉が分からなくても、子どもたちはグレッグさんの表情や雰囲気から感じ取ったのです。




私が通訳すると、さらに教室の空気が変わりました。




🔷生まれ育った国は違っても、人間はみな同じなんだと。



子どもたちの表情を見て、グレッグさんの目も赤くなっていました。



🔷その瞬間、子どもたちは国境を越えたかのような様子で、次々とグレッグさんに話しかけました。



「私もグレッグさんといっしょのことあった!」

「グレッグさんの気持ちすごく分かる」


🔷つながりあえた時間となりました。



総合的な学習の時間だからこそ出来た取組だったと思います。





他の3つのコースでも素敵な出会いがありました。



🔶韓国コースでは、日本の大学に留学されている方から、テコンドーの演武を見せていただいたり、韓国の文化について聴いたりしました。


兵役に行かれた時に、友人が銃で亡くなった話を聞いて、平和の尊さと人と人が繋がる事の大切さを考えることができました。



🔶ボリビアコースでは、日本に来られた当初は言葉で苦労して夜間中学校で勉強された話や娘さんが学校でいじめられた経験、つらさを知っているから今は日本語が分からない人のためにボランティアをしていること、ボリビアには、「いじめ」という言葉そのものがないことの話を聴くことができました。


🔶中国コースでは、日本と中国のつながりや、漢字を通して読み方の違いがあっても意味は通じる事が多いなどの話を聴きました。文化の違いや共通することについて考えていました。



どのコースの子どもたちも、ゲストの方の子どもの頃の夢や思い出についての話を自分と重ねながら聴いていました。



そして、それぞれのコースで聴いて考えたことを他のコースの子らに伝えるために、まとめていき、発表を聴き合う活動を行いました。


大変だったけれど、子どもの心に響く取組となりました。


どの学校でもたくさんの「出会い」がある取組が出来るはずです。



人との出会いがキーワードです。




PVアクセスランキング にほんブログ村

総合学習1 国際理解とは?

🔴総合学習1 国際理解とは?

みなさんの学校では、総合的な学習の時間はどんなことに取り組まれていますか?


地域の歴史、仕事労働、自然環境、福祉、国際理解、平和、人権など様々な取組があります。


子どもの興味関心に基づいて、教科を横断的に総合的に創意工夫をして取り組むというものです。



問題解決型であり、探求型であるので、子どもの力を伸ばすためには、とても大切な時間だと私は考えています。


2000年度から始められたこの「総合的な学習」は、教科書がなく、どんな事をしたらいいのか、学校現場でも当初は戸惑いがありましたが、たくさんの学校でダイナミックで面白い取組が行われてきました。


私も2000年度の以前から、試行段階として取組を始めていたので、子どもたちと考えながら楽しんで進めてきました。


でも、計画を立て実施していくためには、アイデアも必要で、かなりの時間や労力が割かれるので、難しい側面があるのも事実です。


でも、だからこそやり甲斐があります。


これまで取り組んできた事を少しずつ紹介していきます。



🔵①国際理解の取組


外国の事を本やネットで調べて、模造紙などにまとめて発表する取組がよくあります。


🔷私たちは、人との出会いを通して子どもたちに国際理解、多文化共生について考えさせたいと取組を始めました。


🔷学年の先生とツテをたどって、4人の外国の方にゲストティーチャーとして学校に来ていただきました。


アメリカ

韓国

ボリビア

中国


4つのコースに分かれての学習になりました。


🔷事前にその国の事をいろんな方法で子どもたちは調べ学習をします。


🔷打ち合わせでは、その国ならではの事を子どもに伝えてほしいというお願いしていました。


🔷子どもたちには、国の事を学ぶだけでなく、その人自身との「出会い」から学ぶのだという事を伝えておきました。


🔷日本との違いや共通点だけでなく、自分と重なる暮らしや思い出などを考えるのだという事をです。


子どもたちは、事前にゲストの方に聴きたい事を考えます。


🔷たずねる時には、日本はどうなのかという事や、自分の事を語ってから質問するように伝えておきました。


私はアメリカコースの担当をしました。


中学校のAET(アシスタント・イングリッシュ・ティーチャー)今はALT、のグレッグ先生がゲストでした。


ただ、来日してまだ2週間。日本語は全く通じません。私も遠い昔の学生時代から英語は使っていません。


(他のコースのゲストは、皆さん日本語が出来るのに〜)


打ち合わせでは、アメリカの多文化社会についてはぜひ伝えてほしいと何とかお願いできました。


(つづく )


大事な所ですが、文章が長くなるので

次回の「総合学習2 国際理解とは? 」で続きを書きます。

肝心な所なのでぜひともお読みください。



PVアクセスランキング にほんブログ村