授業力アップ 学級経営の話

現職の小学校教員30年の経験から学んできたことを紹介します。
授業力や学級経営について参考になれば幸いです。

国語 ごんぎつね 想像力を伸ばす3 読解力アップのために

🔴国語 ごんぎつね 想像力を伸ばす3


読解力アップ



⭐️その1やその2で紹介した、家の玄関や海で魔法のテレビの練習をしておくと、国語の授業で活きてきます。




物語文を読み深めていく時です。



🔶例えば、「ごんぎつね」の



 ごんは、お念仏がすむまで、井戸のそばにしゃがんでいました。兵十と加助はまたいっしょに帰っていきます。ごんは、二人の話を聞こうと思って、ついていきました。兵十のかげほうしをふみふみいきました。

 お城の前にまで来たとき、加助が言い出しました。

「さっきの話は、きっと、そりゃあ、神さまのしわざだぞ。」

「えっ?」と、兵十はびっくりして、加助の顔を見ました。




🔶この場面で魔法のテレビの威力が発揮されます。


「ここで魔法のテレビを使って、読んでみよう」

と問うだけで、



「ごんは、井戸のそばで、もう〜 まだかなと小さい声でブツブツ言ってる」



「兵十たちの足音は聞こえてるけど、ごんの足音は聞こえない」



「ごんの耳がピーンと立ってる」



「兵十の目は大きくなっていて、加助は目が細くなっている」



など、文には書いていないけれど、描写から想像をふくらませて発言してくれます。



「それはどの文からそう考えたの?」


と問うことで文章の言葉から根拠を示すことを鍛えていけます。



🔵「満月が向こうにあって、兵十たちがいて、ごんは、その後ろにいる」


と発言した子に根拠を尋ねると、


「かげぼうしは、明るくなかったら出ないし、ふみふみと書いてあるから」


と位置関係を読み取っていました。


🔵かげぼうしの長さと月の高さが論争になったこともありました。



「月が高いとかげぼうしが短いので、ごんは気づかれてしまうので、かげは長い」


「ごんは話を聞きたくてしかたなかったから、だいぶ近いはず。だからかげも短くて、月はけっこう上に出ていた」


というような発言で盛り上がりました。



🔶 国語の授業では、登場人物の気持ちを問うことが主になりがちです。



気持ちを聞くと「さみしかった」「がっかりした」というようなひとくくりの答えについついなってしまいます。



🔶気持ちは表情・行動や情景など様子に表れます。



ごんががっかりするこの後、かげぼうしに着目し、その様子を深く想像した子らは、



「ごんは兵十たちのかげにほとんど入ってるから、月の光は当たっていなくて暗い」



「そのかげぼうしの中で下を向いてる」

「がっかりして、ちょっと立ち止まったので、かげぼうしから出た」



と様子を詳しく想像することで、気持ちに迫っていきました。



🔴 私は「ごんぎつね」の映画を作る監督のつもりで場面を想像してごらんと伝えていました。


みなさんなら、もしこのシーンを撮影するなら、どんな背景や登場人物に演技指導をしますか?



物語文を深く読みこむ授業は、自分が想像した考えをみんなですり合わし、共有していく力をつけることだと私は考えています。



この魔法のテレビを授業に取り入れてみると、授業での子どもの考えがとても深くなり、楽しみになると思うので、ぜひやってみてください。






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国語 想像力を伸ばす その2 魔法のテレビ

🔴想像力を伸ばす 2


家の玄関を思い浮かべることの続きです。



🔵 「今度は違う言葉から魔法のテレビに映像を映してね」

「また目をつむって」

「海を魔法のテレビに映してごらん」

「………」

「さあ〜何が見えた?」

「波」「船」「魚」


最初は単純なものが出てきます。


ここで


⭐️「魔法のテレビカメラをズームアップしたり、動かしたりしてみてね」

と問いかけます。


「砂浜でカニが穴から出てきた」


というような動きのある映像を想像した意見が出てくるとしめたものです。


「すごい〜写真じゃなくてちゃんと動きも思い浮かべたんだ〜」


すると、どんどん面白い想像が出てきます。

「家族で砂浜で楽しそうに遊んでる」

想像が単語から文にもなってきます。

「お父さんだけ、いびきかいて寝てる」

⭐️クラスメイトの想像から発想を得て、つながった想像も出てきます。

「すごいいびきの音で周りの人が笑ってるのが聞こえる」


こうなるとどんどん盛り上がります。


「パパ、もう〜!ってママが怒ってる声が聞こえる」


などの会話やストーリーに発展することもあります。




🔴さらに、この魔法のテレビは見る、聞く、だけでなく匂いや味、手触り、心の声(テレパシー)さえも分かるんだということをつたえます。


すると、潮の香りや水の冷たさ、海にいる人の心の中に関する想像も出てきます。


🔵また、海という言葉だけなので、違う状況の発想も当然出てきます。


「台風で波がザバーンとなって、浜には誰もいない」

こんな意見は大歓迎。

「面白い!違う発想も出てきたぞ〜」


「今までとは違う海を思い浮かべたんだね」

同じ言葉でも、人によって思い浮かべることは違うんだということにも、気づきます。

というようなことも板書しながら進めます。絵を描いても面白いです。


「想像力って本当にすごいな、言葉ひとつでこれだけいろんなことが考えられるんだ」


ということが実感できる楽しい時間になります。

こうした一つの言葉から想像力を広げ、自由に意見を言える空気をクラスでつくっていくと、いろんな意見が授業で出てくるようになります。

⭐️ この始めの「たねまき」をすることで、国語の物語文の読解にもつながっていきます。

教科書にある物語文の読解では、文章から想像力を働かせないといけません。


季節は ? 時間は? 場面は?


「海」の時とちがって自由に想像するのではなく、文章にもどって想像を広げ、読むことが必要になってくるからです。


次回は、国語の物語文の読解 想像力を伸ばす授業についてです。



魔法のテレビの威力、性能は、これから発揮されてきます。






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国語 想像力を伸ばす1読解力アップ

🔴想像力を伸ばす 1魔法のテレビ



学習や人間関係で大切な事は、想像力です。



想像力を養うための導入の授業を紹介します。



何度もこの授業をしましたが、特に国語の読解力もアップします。


「みんなは超能力を持っているんだよ」

と語りかけます。


子どもたちは興味しんしんで聞いていました。


「目をつむって 今から言う言葉を頭の中の魔法のテレビに映像を映してください」


🔵 黒板に子どもの考えている顔と吹き出し💭の中にテレビ📺のイラストを書きます




🔴「自分の家の玄関のドア」を思い出して頭の中の魔法のテレビに映してごらんと問うと


「…見えた!」「映った!」


毎日見ているから、どの子もすぐに想像したことを言うことができます。


「 一瞬で家まで行けたでしょ?」


「今、頭の中に何が見えた?」

と聞くと


「玄関の花」「弟の三輪車」

などいろんな答えが返ってきます。

「 ではまた目をつむって今度はドアを開けて中に入ってごらん」


🔴「この魔法のテレビは音も聞こえてくるよ」


「耳をすませてね」

と問いかけると


「おばあちゃんが見ているテレビの音」


「妹が泣いててママがヨシヨシしてる声」


などの言葉が出てきます。

「頭で考えただけで、見えたり、聞こえたりできる力を想像力というんだよ」


「これって超能力だよね〜」


「うん、ホントにすごいな」


と子どもたちの声


ここまで10分もかかりません


次回はその2です





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