授業力アップ 学級経営の話

現職の小学校教員30年の経験から学んできたことを紹介します。
授業力や学級経営について参考になれば幸いです。

国語 大造じいさんとがん①

🔴国語 大造じいさんとがん①


🔶読み深めるために時間をかけて取り組みたい文学教材として、長年、教科書に掲載されています。


🔶以前紹介した想像力を働かせる「魔法のテレビ」の威力が発揮される教材です。



*「魔法のテレビ」の詳細は過去の記事をご覧ください。


🔶道徳の授業のように教訓などをまとめる授業になりがちですが、あくまでも国語の文学教材として読み味わう事が大切です。


🔶かりゅうどの大造じいさんが正々堂々とがんの残雪と戦うことの素晴らしさを感じたなどと教師がまとめるようにしない事です。


🔶文学教材は、子どもたちが物語から想像を膨らませ、読み取った世界を味わう事が重要なのです。


🔶教師が意図した方向に指導することは、文学教材の学習にはそぐわないのです。


🔶もちろん文章の読み取りが間違っている場合には、考えさせねばなりません。


🔴まずは、何度も読ませる事です。そして、子どもから分からない言葉や疑問、感じた事を出し合い、聴き合う形で授業を進めるのです。


🔷そのためには、まず自分で教科書やノートに気になる所に線を引いたり、考えた事を書き込んだりする時間を取るのです。


🔷次にグループで分からない言葉を聴き合う事、一つの言葉から想像した事を出し合う時間を取るのです。


🔷一の場面の中に

「大造じいさんは、このぬま地をかり場にしていましたが、いつごろからか、この残雪が来るようになってから、一羽のがんも手に入れることができなくなったので、いまいましく思っていました。」

という文章があります。

🔷「いまいましく」という言葉が分からない子がグループの中で「どういう意味?」と尋ね、グループの中で説明をし合うようにしていきます。


🔷そして、「グループでどんな疑問や考えが出ましたか?」と尋ね、「私のグループではいまいましくという言葉の意味が難しいという疑問が出ました」と全体に出してもらうのです。


🔷「いまいましく」という言葉に注目していなかったグループもあるので、全体に返して考えて、何人かに発言してもらったら、もう一度グループで大造じいさんの気持ちを考えさせるのです。


🔷学び合いのスタイルが定着していない場合は、グループで出し合う前に「いまいましく思っていました」という大造じいさんの気持ちを考えましょうと発問するやり方でもいいかと思います。


🔷子どもたちの読む力が深くなっていれば、「いつごろからか」という言葉にも着目するはずです。


🔷ずいぶん前から残雪に大造じいさんがしてやられていた事を読み取れるはずです。


🔷かりゅうどたちから残雪と呼ばれている文から、大造じいさんだけでなく、他のかりゅうどたちも苦労している事を子どもたちが読み取れるなら、学級の読みは高いレベルにあります。


🔷想像力の「魔法のテレビ」を取り入れていると、行間を読み、かりゅうどたちと大造じいさんの会話を想像していく事が出来ていました。


🔷「あの残雪のせいで、一羽も取れん」「そうじゃ、弾の届かん所が分かってあるのかの?」「ほんまにあの残雪のヤツめ!」と舌打ちをしたり、文句を言うかりゅうどたちの様子を想像しています。


🔷すると、「いまいましく思っていました」という着目させたい所の読みがより深くなり、大造じいさんの気持ちをしっかりと考えられるようになります。

🔴一の場面では「ううむ!」大造じいさんは、思わず、感たんの声をもらしてしまいました。の文も大事な所です。


🔶感嘆という言葉も難しいですが、「もらしてしまいました」にも子どもから出てくる事に期待したい所です。


🔶残雪の行動が大造じいさんの予想にはなかったからこそ、「思わず」「もらしてしまいました」という表現になっているのです。


🔶大造じいさんの心の中を「魔法のテレビ」で想像させるのです。「ううむ!」という一言にどんな思いが詰まっているのかを想像して「心の声」を表現させるとより迫る事が出来ます。


🔶「まさか?」「鳥がそんな事が出来るのか」「おれが考えた仕掛けをすぐに見破るなんて」という想像が出てくるなら読みの力は高いと言えます。




🔵このような進め方をしていけば、先生が予想していた読みを超えた子どもの読みが出てくるはずです。


🔷それこそ、先生が子どもの読みに「ううむ!」と感嘆の声をもらすような深い意見を聴く場面があるはずです。


🔷それが文学教材の面白い所なのです。

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