授業力アップ 学級経営の話

現職の小学校教員30年の経験から学んできたことを紹介します。
授業力や学級経営について参考になれば幸いです。

算数 3年生そろばん

🔴算数 3年生 そろばん


◯現行の学習指導要領では、3年生と4年生の算数でそろばんで加減の計算を学習することとなっています。


◯3年生では、3時間でそろばんの指導をすることになっています。初めてそろばんを触る子も今は多いので、そろばんの使い方を教える所から始めます。


◯大きな数で学習した一、十、百、千という位取りと、そろばんの仕組みとを重ねて考えさせ事が大切です。


◯たった3時間でそろばんの習得はできません。興味を持たせることで充分だと思います。


◯そろばんと電卓ではどちらが早いかを問うと、みんな「電卓〜」と答えます。


◯そこで「1億を電卓とそろばんでやってみるよ」と見せると「あ!」という発見があるます。電卓では、1億は100000000と0のボタンをたくさん押さなければなりませんが、そろばんなら一つ玉を動かすだけです。


◯子どもたちは「そろばんの方が早い〜!」と驚き、興味を持ちます。


◯子どもはそろばんを触りたくて仕方ありません。


◯ここは、じらすテクニックを使います。


◯初めにそろばんを渡してしまうと、そろばんを触って遊んでしまうので、最初は大きなそろばんに集中させて使い方を指導することです。


◯「よく聴いているグループから渡します」と言っておくと、びっくりするほど静かに聴きます。


◯まずは、置いた玉の数を読めるか、数を置けるか、それだけで1時間かかります。


◯次の時間は、そろばんで加減の計算をします。


◯6+2などは簡単に出来ますが、4+3などは玉を動かすのか意外にも悩む所です。


◯「一年生のたし算なのに〜?」というと、ちゃんと動かし方の理由も説明してくれるようになります。必ずペアやグループですることです。


◯後は教科書の簡単な計算をそろばんを使って解く時間にします。

◯また、ジャンプ問題として、「1から9までの数を全部たし算したら合計はいくらになるか」にそろばんでチャレンジしてもらいます。


◯ガウスの計算方式としても知られている問題です。


◯「そろばんを使わないで、もっと簡単に暗算でする方法を見つけてごらん」と刺激してあげます。


◯ヒントとして、「仲良しのペアの数字を見つけたら簡単なんだけどなぁ〜」と言うと、何人もの子が発見しました。


◯1から99までの合計や、1から1000までの合計にもチャレンジしていました。




◯たった3時間でそろばんの習得は困難なので、こうした数の不思議を取り入れて授業をすると、意欲を持ってチャレンジしていきます。


◯「そろばん習いたい」という子もたくさん出てきます。

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共に育つ①特別支援教育 インクルーシブ教育

🔴共に育つ① 特別支援教育 インクルーシブ


◯障がいのある子どもたちへの教育が、「障害児教育」「特殊教育」という名称から「特別支援教育」という名称になってずいぶん経過しました。


◯昔は、地元の小学校に近所の子どもとといっしょに通わせたいという障がいのあるお子さんを持つ保護者の願いが叶えられなかったケースも多くありました。


◯国が分離教育を推進していたために、地元の小学校ではなく、養護学校の方が人員も多く手厚い対応が出来ると勧められていました。


◯どちらがいいのかを当事者である子どもや保護者が選ぶのではなく、第三者の「就学指導委員会」が振り分けをしていた過去の歴史があります。


◯その頃、「健常児」の通ういわゆる「普通学校」ではなく、「障害児」は「養護学校」へ通わせるという考えが行政や教育機関の多数を占めていました。


◯現在では、「インクルーシブ(包括的)教育」という理念のもとに、障害の有無で、分離・排除するのではなく、すべての子どもたちが、共に学び、共に育つ教育をめざすこととなっています。


◯今は、地元の学校の「特別支援学級」か、「特別支援学校」かを保護者が選択をして、お子さんを通わせておられます。


◯私がこれまでに勤務してきた学校のいくつかは、障がいのあるお子さんを進んで受け入れている学校でした。


◯共に学び、共に育てたいという思いで先輩の先生方が取り組んでこられていたからです。


◯在籍は「障害児学級」にあっても、授業や日常の学校生活の全てを「普通学級」で共に学ぶことを大事にしている学校でした。


◯保護者の方が、我が子を地域の学校で、近所の子どもたちと学ばせたい、大人になった時に近くに友達がいないと困る、小学校の間につながりを作らせたいという願いを大切にしてきた学校でした。


◯全国的には、大半を特別支援学級(障害児学級)で過ごし、一部の教科や給食などの時間を「普通学級」で過ごすという学校が、ほとんどだと思います。


◯その子だけ別の教室で個別に学習するのではなく、同じ教室でその子の成長に合わせた教材やカリキュラムを組んで、共に過ごすという学校は、まだ少ないと思います。

◯私もこれまで重度の自閉症のあるAくん、ダウン症のBさん、またアスペルガーやADHDなど発達障がいのある子どもたちを「担任」してきました。

◯特にAくんと共に過ごした2年間からたくさんの大切なことを学びました。

◯学級担任として、「障害児学級(特別支援)担当の先生と組んで、二人でクラス全員に関わります。

◯担任と副担任というよりも、「相互担任」という意識です。

◯自閉症のAくんは言葉は話せませんが、幼稚園や一年生の時から共に育ってきたクラスの子どもたちは、Aくんが苦手な事や好きな事をよく分かっているので、Aくんがどんな気持ちでいるのかを自然に理解していて、いっしょに学び、いっしょに遊んでいました。

◯私が前で授業をして、Aくんの横にはもう一人の先生がついてという形がメインですが、時には授業を交替して、私がAくんの横について勉強することをしていました。

◯担任する前は、集団の中ではAくんは気持ちが安定できないのではと思っていました。別の教室でAくんだけの課題をした方が集中できて伸びるのではとも考えていました。

◯しかし、子どもたちとのつながりの中、みんなといっしょに、ゆっくりと着実に成長していったAくんとの2年間で考えは変わりました。

◯Aくんは別室で先生と二人きりより友だちといっしょにいる事の方が好きでした。先生が教えるよりも、友だちの行動を見て、Aくんが出来るようになった事もたくさんありました。

◯障がいの有無に関わらず、子どもは友だちとの関わりの中で成長していきます。

◯別室で1対1で先生と学習する方が力がつくと思っていましたが、決してそうではなかったのです。

◯もちろん、子どもによって、集団の中ではパニックになる時や落ち着かない事もあります。そんな場合は一時的にクールダウン出来る居場所に行っていいのです。

◯Aくんは幼稚園から共に過ごしてきた友だちがたくさんいたので、友だちと教室でいっしょに過ごし、友だちと関わりながら、自分に合った課題をして成長していきました。

◯Aくんにとっては、「普通学級」にいることが当たり前だったのです。周りの子からの働きかけもありましたが、Aくんも周りの様子を見て、行動していました。

◯先生と1対1でするよりも、周りの子らと共にすることで、Aくんはどうしたらいいのかを身につけていったのです。

◯特別支援学校の良い所ももちろんたくさんあります。人員も「普通学校」よりも多く、多様なカリキュラムが整っています。大切なのは、我が子の進路の選択肢が増え、自己決定が出来ることです。

◯ただ、インクルーシブ教育の理念で言えば、「分離教育」ではなく、「共に育つ包みこむ教育」が求められています。

◯現在は、地域によっても違いますが、重度の障害のある子を「特別支援学校」へ、軽度の子は「特別支援学級」でという流れになってきています。

◯しかし、「普通学校」の「特別支援学級」への人員加配は増員されていないために、上記のような「相互担任」の形をとる事が困難な状況にあります。

◯インクルーシブ教育を国が推進するようになりましたが、予算面などの対策はなされていません。

◯障がいのある子が地域の友だちと共に学び育つ教育への施策が求められています。

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小学校教員に必要な力⑦段取り力と予測力

🔴小学校教員に必要な力⑦


◯「段取り力」と「予測力」です。


◯小学校教員には、ほとんど空き時間はありませんし、5分の休憩をとることさえ難しいのが実態です。低学年の担当ならトイレさえなかなか行けない事もあります。


◯多種多様な仕事があり、時間を効果的に使わないとドンドン仕事がたまっていきます。


◯優先順位を決めて、今しないといけない事、今日中にする事、今週中にする事をあらかじめノートに書き出しておきます。


◯事前に準備が出来ていると早めに完了し、子どものトラブルや保護者対応などの突発的な事態にも余裕を持って対処できるのです。


◯全ての事に「段取り力」が求められます。授業も「段取り」が必要です。準備物や展開の仕方、発問、予想される反応などの教材研究の時間は、なかなか勤務時間には取れません。


◯前もって計画をしておかないと、時間に追われてしまうのです。

◯給食の準備などもどんな方法がスムーズにできるのかを考え、システムを作っておくと混乱せずに早くできます。


◯家庭訪問や個人懇談などは、開始時間を少し遅めにしておくと、子どものトラブルにも対応できます。また、間も空けておくと1軒が延びても後の方に待ってもらわなくても済みます。


◯また、朝から放課後までの限られた時間を有効に使うことで、子どもに向き合う時間を作ることが大切です。


◯休み時間は、子どもだけで教員にはほとんどありません。


◯気になる子らの遊んでいる様子を観察したり、保護者からの連絡帳に返事を書いたり、ケンカした子どもらから話を聴いたり、プリントの丸つけ、次の授業の準備をしなければなりません。


◯準備や計画をしていないと後手に回り、その場で変更して、子どもたちが混乱したり、雑然とした状況になってしまうのです。


◯全てにおいて、「予測力」と「段取り力」が必要なのです。


◯新任の頃はなかなか段取りがうまくいかないのは当たり前ですが、事前に少しでも予測をして臨むことで徐々に力がついてくるはずです。




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道徳の教科化②人権教育

🔴道徳の教科化②人権教育


◯前回は道徳についての私見を述べました。道徳は教科書だけで進めないことが必要だという内容です。


◯今回はもう少し「道徳」について突っ込んで述べたいと思います。教科書にあるような内容ではなく、事実に基づく学びが大切だと私は思います。


◯自分たちのくらしの中にある不合理なことやおかしな事を考え合うこと、世の中にある問題や社会の中にある矛盾や理不尽なことを考えることで、どう生きるべきかを問うことが大切だと思います。


◯「道徳」に挙げられている「価値項目」の内容は、子どもでも善し悪しは分かっています。


◯しかし、人間は、子どもであれ、おとなであれ、誰しもが弱い心を持っています。


◯つい腹を立て悪口を言ったり、偏見で他人を決めつけたり、他者と比較して優越感に浸ったりもします。


◯皆、揺れ動きながら矛盾や葛藤を抱えて生きています。


◯「道徳」の教科書のように「こんなふうにより良く生きましょう」というような授業では心には響かないのです。


◯それよりも子どもたちのくらしの現実から深く学ぶことが大切です。


◯顔つき、身体つきや名前で嫌なアダ名をつけられて、いやな思いをしている子はいないでしょうか


◯親の仕事や収入で他の子を見下す子はいないでしょうか。


◯周りから疎外されたり、いじわるされたりしている子はいないでしょうか。


◯自分の事を嫌いになり、自信をなくしてしまっている子はいないでしょうか。


◯誰もが安心して、持ち味を出せる学級になっているでしょうか。


◯学級の中にある問題やくらしの中にある問題を抱えたまま、「道徳」の授業でいくらいい発言をしていても何の意味もありません。


◯どの子にも学校生活を楽しく学ぶ権利は等しく持っています。


◯「道徳」でこそ、くらしの中にある問題を考えさせるべきだと思います。


◯また、社会の中には、差別や偏見、様々な人権課題があります。


◯人権がないがしろにされていることが残念ながら、私たちの社会の中にたくさんあります。


◯高齢者の人権課題、女性の人権課題、子どもの人権課題、働く人たちの人権課題があります。


◯また、部落差別をはじめ、人種差別、在日外国人への差別、障害者に対する差別、性的マイノリティへの差別などの個別の人権課題もあります。


◯これらの実際にある人権課題を抜きにして、「道徳」という教科で心の内面に迫ろうとしても、抽象的で表面的な学習にならないかと危惧しています。


◯これまで人権教育が創り上げてきた実践の中には、心に響く教材や取組がたくさんあります。

◯大阪府人権教育研究協議会が作成した「にんげん」や奈良県人権教育研究会の「なかま」には、子どもたちに考えさせたい教材がたくさんあります。


◯学年の発達段階に応じて、「道徳」の授業でぜひ活用してほしいと思います。

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算数 3年生🔲を使った式

🔴算数 3年生 🔲を使った式


◯中学校の数学で学ぶ文字式の土台となる所です。Xではなく🔲を使って表しますが、3年生には丁寧に指導しないと難しい単元です。


◯「たろうさんは、はじめ切手を24枚持っていました。お姉さんから何枚かもらったので、全部で35枚になりました。お姉さんから何枚もらったのでしょう?」という文章題。


◯これまでに学習している引き算の35ー24ではなく、🔲を使った足し算を考えさせ、24+🔲=35という式を作ることをおさえます。文章をよく読ませて、絵や図を描いて考えさせることが大切です。


◯そのうえで、🔲を求める式を考えさせるのです。文章の内容や絵、図からよく考えないと3年生には難しいところです。35ー24をすっと出せる子ばかりではありません。4+🔲=5などの一桁の簡単な数字に置き換えることで理解しやすくするのです。


◯文章題の場合は、必ず🔲を使った式と🔲を求める式の両方を書かせることです。


◯例題をして、練習問題が出来たら、自分で🔲を使った式を考えさせて、グループの友達と解き合う活動をして、黒板に書かせていきます。


◯🔲を使ったたし算やひき算、かけ算などの式を一通り学習したらいろんな計算問題を作成させます。


◯すると、子どもから「先生、小数も使っていい?」という発想も出てきます。「すごいね!いいよ〜」というと、「分数も使っていい〜」という発想も出てきました。


◯🔲+0.6=1.5などこれまでに学習したことを応用した問題を作って解き合う活動ができました。


◯中には🔲+0.8ー0.5=1.4などの問題を作った子どももいました。


◯問題を作成する力がついたら、かなり理解が深まっている証拠です。


◯友達の作った問題は解いてみたいという意欲も湧いてきます。


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