授業力アップ 学級経営の話

現職の小学校教員30年の経験から学んできたことを紹介します。
授業力や学級経営について参考になれば幸いです。

小学校の英語教育⑦国際理解

🔴小学校の英語教育⑦国際理解


◯せっかくのALTとの授業で、言葉だけを学ぶのではもったいないと思います。


◯その国の文化や習慣、その人ならではの話を聴くことが大切です。


◯以前の記事でALTの先生からアメリカの多文化共生の話や悲しかった思い出や嬉しかった思い出についての話を聴かせてもらった事を紹介しました。



◯国の事だけでなく個人の意見も聴けるチャンスがあるのです。


◯家族の事、子どもの頃の思い出、夢、日本文化に対する考え、子どもたちへの願いなど、毎時間、少しずつインタビューに答えてもらう形で行なうと、ALTの先生の人柄や気持ちを知り、英語への意欲も強くなってきます。


◯生まれ育った国によって文化や習慣に違いがある事を理解するのはとても大切なことです。



◯違いを知ることでステレオタイプな見方が変わります。国に対する固定観念も変わってくるはずです。


◯人との出会いを大切にするのです。


◯6年生なら平和学習と関連して、ALTの先生から過去の大戦についての考えを聴く事もできます。


◯5年生ならその国の産業や環境問題についてのインタビューをすることで学びが広がります。


◯学年に応じて、各教科につながることを英語の時間に少しでも取り入れてみてはどうでしょうか。

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小学校教員に必要な力⑥集団指導の基本

🔴小学校教員に必要な力⑥


◎集団への指導の基本


◯学級経営の指導の基本は、子ども一人ずつとの対話にあります。


◯しかし、離島や山間部の少人数のクラスを除いては、学級には30人前後の子どもたちがいます。


◯多数の子どもを指導するためには、技術がいります。これがなかなか難しいのです。


◯個別の対応を優先していると、全体への指導が後手に回り、集団が崩れていく場合があります。それが「学級崩壊」になっていく可能性もあるのです。


◯中学年ぐらいまでは、「先生〜次は何するの〜?」「先生!Aちゃんがいやなこと言ってきます」「先生、僕に当てて」と口々に話をかけてきます。


◯経験がないと、個別に対応してしまいがちです。聖徳太子でも同時に30人以上の子どもの声は聴き分けられません。一対一対応では、集団としての学級指導が出来ないのです。



①聴く



◯まずは、先生や友達が話している時は、身体を向け、最後まで聴くことを徹底します。



◯ここをルーズにしてしまうと、聴かない子どもを作ってしまいます。指名されないのに口々に意見を言うと、収拾がつかなくなっていき、コントロールが難しくなっていきます。


◯怒鳴って聞かせるのではなく、丁寧に聴くことの大切さを粘り強く伝えていくことです。


②指示


◯ケースにもよりますが、全体に指示を出し、その後に個々に対応するのが原則です。


◯何をするのか、活動を明確に伝えることが大事です。することがはっきりしていないと子どもたちは騒がしくなっていきます。


◯基本は、一つの行動に一つの指示です。一度にたくさん指示を出すのは、子どもの力が育ってきてからです。


◯「最初にAをして、次にBをして、それからCをします、最後にDをします」という指示では、子どもが理解出来ない場合やペースも違うので、混乱の原因になります。


◯指示は一つずつすることが基本です。一つ出来たら鉛筆を置き、姿勢を正して待たせておくことが第一歩です。


◯指示で大切なことは、「出来たらどうするのか」も伝えておくことです。これが分かっていないと、早く出来た子から「先生、出来た!」「次は何?」という質問の嵐になるのです。


◯手持ち無沙汰になると、また騒がしくなってきます。


◯また、指示は声だけでなく、黒板にも書いておくことが大事です。何をするのか、出来たらどうするのかもです。


◯子どもたちが先生の一つの指示にそって行動ができ、出来た後も指示通りに行動できるような段階なら、指示を少しずつ増やしていけばいいのです。


🔴緊急の場合を除いて、個別に対応する時は、全体に何をするのかを指示をしておくことが集団指導の大原則です。


◯個別に対応している間に、他の事案が発生してしまい、「もぐらたたき」のように追われることになってしまいます。

(つづく)




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道徳の教科化①

🔴道徳の教科化①


◯来年度から道徳の教科化が始まることになっています。


◯これまで「道徳の時間」として行ってきたものが「特別の教科 道徳」となります。


◯これまでも道徳の本はありましたが、「教科書」となり、細かく指導の在り方が示されるようになりました。


◯内容は、文科省が教科化に向けて配布してきた読本「わたしたちの道徳」の教材とかなり共通しています。


◯以前の勤務校が文科省の道徳研究指定校となった時、各出版社の道徳読本の教材全てに目を通したことがあります。


◯内容があまりにも浅かったり、観念的だったりする教材が多く、授業で使いたいと思えるものは少ししかありませんでした。


◯実話に基づく教材はまだしも、架空の話の教材が中心でどれだけ子どもの心を育てられるのか、疑問に感じました。


◯実話をもとにした自主教材を作成したり、各社の教材を組み合わせたりして、年間計画を立てました。


◯今回の教科書の内容もほぼ変化はしていません。こんな中身では、深い学びは望めないし、価値観の押し付けで終わってしまうのでは、懸念しています。


◯また昨年、報道もされましたが、教材の中にあった「パン屋さん」が文科省の検定意見がつき、「和菓子屋さん」に変更されました。


◯「伝統と文化の尊重、国や郷土を愛する態度を学ぶという学習指導要領に照らし、扱いが不適切である」「我が国や郷土の文化と生活に親しみ、愛着を持つことの意義を考えさせる内容になっていない」という理由でした。


◯全国のパン屋さんから抗議があったのは言うまでもありません。


◯愛国心とはこんな薄っぺらなものなのでしょうか。


◯こんな浅薄な意見が通るような教科書で、「道徳」が養われるとは到底思えません。


◯教科化の背景には、いじめ自殺問題などがあります。


◯「道徳」が、戦前の「修身」のような「国の為に命をかける」といった事にはならないとは思いますが、「教育勅語」を幼稚園児が唱和していたあの学園を国民の代表である総理大臣が応援していた事に危惧を感じている方は多いと思います。


◯道徳には、「思いやり」「正義」「公共心」などの「価値項目」が高学年では22項目あり、年間35時間の中で一回は、各項目をすることになっています。


◯この価値項目自体も個人的には、それでいいのかとも思います。


◯「教科書」の内容だけに留まらず、目の前の子どもたちの課題だと思うことを道徳の授業で考えることが大切ではないでしょうか。


◯友達を見下す態度や自分勝手な行動をとる場面があるのなら、そのことをみんなで考える方がよほど子どもたちの心を耕すことになると思います。


◯ちなみに道徳の学習指導要領には、「児童の発達の段階や特性、地域の実情などに考慮し、多様な教材に努めること」「特定の価値観を押し付けたり、主体性をもたず言われるままに行動するよう指導することは、道徳教育が目指す方向の対極にあるものと言わなければならない」と記述されています。


◯また、中教審答申にも「地域や学校の実態を踏まえて、教育委員会・学校や民間の作成する多様で魅力的な教材があわせて活用されることが重要である」と述べられています。


◯教科書だけで、道徳を進めるのではないことを念頭におくことが重要だと思います。


◯私たちの社会にある様々な人権の問題について考えることが大切だと思っています。


◯「道徳」については、一回の記事では書ききれないので何回かに分けて伝えていきたいと思います。

(つづく)




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小学校の英語教育⑥意欲づけ

🔴小学校の英語教育⑥意欲づけ


◯英語は必要性や目的があれば、自ずと学び使えるようになる事を「英語教育①②」で述べました。


◯子どもにとっての必要性は、ALTの先生と仲良くなりたい気持ちだとも書きました。


◯これだけでは、必要性や目的、意欲にはなかなか繋がりません。


◯子どもたち一人ひとりの興味のある事を英語の授業に取り入れてみるのです。


◯野球が好きな子は、メジャーリーグのアナウンサーや選手のインタビューで何と言っているのかを知りたいはずです。将来、メジャー球団に入った時にどんなふうに挨拶するかなどは興味を持つはずです。


◯ダンスや音楽が好きな子なら、動きの言葉や歌詞を知りたいはずです。


◯ゲームに夢中の子なら、英語版のゲームに出てくる言葉を自分から調べています。


◯子どもが知りたい言葉や表現をタブレットで調べたり、ALTに尋ねたりするのです。


◯“How do you say ( )in English? ”という尋ね方で「英語では(

)を何と言いますか?」と教えてもらうのです。


◯事前に知りたい言葉をそれぞれに決めておくと、 ALTとの授業を楽しみにするようになります。


◯自分が知りたいと思う英語を教えてもらうことが、意欲を高める原動力になります。


◯スマホやタブレットで音声や動画を撮っておくと、後から聴き直す事もできますね。


◯ちなみにグーグルの音声検索に日本語の言葉と英語と話しかけると、文字だけでなく、音声も聴くことができます。




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小学校教員に必要な力⑤授業力

🔴小学校教員に必要な力⑤授業力


🔶「授業力」の基本(1)


◯何年の担当になるか分かったら、まずは各教科の教科書と指導書を一通り読んでおくことです。


◯教科書や指導書はたくさんの人が何度も練った上で作成されています。


◯「教科書を教えるのではなく、教科書で教える」という言葉が昔から教員の世界では語り継がれていますが、初任者のうちは、まず「教科書を教える力」をつけてください。


◯我流のまま、指導書を読まないで授業をすると肝心なポイントを押さえていなかったり、内容の理解が不十分なまま教えることになってしまうからです。


◯教科書や指導書は、せめて単元の終わりまで読み込んでください。


◯そして、どんなねらいで、どのように展開していくのかは、最低限、把握して授業に臨むことです。


◯以前、大卒1年目の先生の授業を見せてもらった時のことです。2年生の算数で2桁+2桁の導入の授業でした。


◯いろんなお菓子の値段が書いてあり、問題を作りましょうという授業です。


◯せんべい20円、アメ35円、チョコ48円などが書いてあります。8+6などの1桁の計算しか習っていないのですが、「せんべいとアメを買いました。合わせて何円になりますか?」という問題は作ることはできます。


◯答えの求め方は、この単元で学習をしていくのです。でも、塾や家庭学習で知っている子に先生は当てました。


◯すると、子どもは35+48=83と筆算を書いて繰り上がりも計算をして答えを黒板に書きました。先生は「よくできましたね」と褒め、「分かりましたか?」とみんなに尋ねました。


◯他の子は習っていないので、チンプンカンプンになり、混乱しています。


◯単元で何時間もかけて学ぶ内容を導入の45分で終えることになってしまいました。


◯彼は、この先の教科書や指導書のページを読まずに、授業に挑んでしまったのでしょう。展開を見ていなかったのです。


◯経験がないとはいえ、教壇に立って教える限り、責任を持って授業に臨まなければなりません。


◯後で「この失敗を生かして次につなげてくださいね」と話をしました。


🔴極端な例かもしれませんが、しっかり教科書を読むことは、授業力の「いろは」の「い」です。


◯教科書の内容をしっかりと理解させる「授業力」をつけてから、いろんなアレンジや工夫をして、いろんな指導法や他の教材を使った授業に取り組んでみてください。


🔴何事にも基本が大切です。「型」がしっかりと出来てから「応用」をしていくのです。


◯この4月から教員になる方や教員を目指している方は、出来るだけ多くの実践記録を読み、どんなふうに45分の授業を進めていくのかをイメージしておいてください。

(つづく)




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